八大地獄

八大地獄

八大地獄とは

 私たちは六道(地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天界)を輪廻転生すると考えられています。今は人間界に生きていますが、 来世また人間界に舞い戻れるかは、不明です。生前の行為が閻魔大王様によって裁かれ、往き先が決まります。
 六道の世界はいずれも迷いや苦しみに満ちていますが、そのうち「地獄」の苦しみは他の世界とは比べものになりません。 「地獄はあると思える人にはなかりけり。なしと思うひとにこそあれ。」という言葉があります。 当寺の「八大地獄」で地獄界を知り、人生を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

等活地獄

等活地獄

  等活地獄(とうかつじごく)は「殺生」を犯した者が堕ちる地獄です。命に大きさはなく、殺人に限らずあらゆる生きものを殺すと この地獄に堕ちることになり、針山を歩かされる刑や真っ赤に焼けた鉄岩の上で五体を切断される刑が待っています。刑は一度ではなく、息絶えても蘇生させられ繰り返されます。 これより先の地獄へ下がると、10倍ずつ刑期と責め苦が増えていきます。

黒縄地獄

黒縄地獄

  黒縄地獄(こくじょうじごく)は「殺生」に加え「盗み」を犯した者が堕ちる地獄です。 黒縄とは、板などを切る際にカットラインを引くために用いられる糸のことです・・・

衆合地獄

衆合地獄

  衆合地獄(しゅごうじごく)は「殺生」「盗み」に加え「邪淫(不倫)」の罪を犯した者が堕ちる地獄です。 堆圧地獄という別名があり、獄卒(地獄に居る鬼)に山間へ追われると山が両側から迫ってきて圧殺されたり、臼杵ですり潰されたりと様々な責め苦が待っています。 また、葉が刀になっている木々の先に見せかけの美女(美男)が居り、罪人はその美女(美男)を目掛けて猛進することになります。

叫喚地獄

叫喚地獄

  叫喚地獄(きょうかんじごく)は「殺生」「盗み」「邪淫」に加え「飲酒」の罪を犯した者が堕ちる地獄です。 飲酒自体が悪いのではなく、酒によって悪事を働いたり、人を酒に酔わせてからかったりした者が刑を受けます。 熱湯の大釜や火が燃え盛る鉄室に入れられ、号泣、叫喚することになります。

大叫喚地獄

大叫喚地獄

  大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)は「殺生」「盗み」「邪淫」「飲酒」に加え「妄語(嘘をつく)」の罪を犯した者が堕ちる地獄です。 これら5つの罪は五戒(在家の信者が守るべき5つの戒律)に反するもので「五悪」と呼びます。 妄語の罪を犯した者はこの地獄で舌を抜かれることになります。

焦熱地獄

焦熱地獄

  焦熱地獄(しょうねつじごく)は五悪に加え、邪見(正しくない間違った見方)の罪を犯した者が堕ちる地獄です。 ありもしない噂を広め、人を傷つけるようなことをした者はここに堕ちます。 その名の通り全身を火で焼かれる刑が待っているのですが、ここでの責め苦は前の5つの地獄での責め苦が氷の世界の涼しさくらいに感じるほど厳しいとされています。

大焦熱地獄

大焦熱地獄

  大焦熱地獄(だいしょうねつじごく)は五悪、邪見に加え、尼僧や童女などへの強姦の罪を犯した者が堕ちる地獄です。 焦熱地獄の10倍の責め苦に合わされることになり、炎以外何もない世界です。火による責め苦ではここは極限の地獄で、 猛火の火勢は亡者の生前に犯した激しい悪行に等しいと言われています。

阿鼻地獄

阿鼻地獄

  阿鼻地獄(あびじごく)は無間地獄とも呼ばれ、苦しみが絶え間なく続きます。また無期懲役となり、ここに堕ちるとその先、生まれ変わることはありません。 阿鼻地獄に堕ちるのは、父母や聖者、主君の殺害や、仏教の教えを謗るような重罪を犯した者たちです。

最後に

極楽浄土

  全てお読みくださった方は「たとえば、殺生や盗みなどは犯していなくても嘘をついたことがある者は大叫喚地獄に落ちるのか」と いった疑問をお持ちになるかもしれません。結論を申し上げますと、そうとは限りません。どうしても嘘をつかなければならないこともあります。 その嘘がどういった経緯でつかれたものなのか、またその嘘によって何が起こったかを閻魔様は見ています。その嘘によって、人の心を盗んだり、 その嘘によって誰かが命を落としたりするようなことがあれば、大叫喚地獄に堕ちることになるでしょう。 また「蚊を叩いたり小さな虫を誤って踏んでしまったら、地獄に堕ちるのか」という疑問を持たれる方も多いです。もちろん、命の重さに差はありませんので それらの行為も「殺生」にあたります。しかし、閻魔様は悪業ばかりを見ているわけではありません。徳を積む、つまり良い行いをすれば、「善因善果」となるでしょう。